この会場を何度も利用して慣れている「Roberto&Masakado」さんらとは対照的に
KCのサウンドチェックは予定よりかなり時間が掛かった。
加えて、YASSさんのギターの音に何か不具合があったみたいで、それが心配ではあったけれど
いざ本番では私にはそれがわからなかったし、サウンドチェックの時にギター音が耳に入った瞬間、
レスペのサウンドってやっぱり凄い存在感があるんだなぁと強く感じた。
って、今更な話ではあるけど、音色が独特なのと同時に、威厳があるというか、
絶対的な存在感を放つギターなんだなと、あらためて思った。

それから、今回は、MJさんがスペシャルゲストとして参加。
MJさんといえば、ちょうど2年前の秋葉原でのライヴ(未確認非行男体)が印象に強く残っているが
まさかKCと一緒にやるとは思ってもいなかったし、その時に素晴らしいプレイを見せてくれたMJさんが
今回はキーボードとギターで参加すると聞いて少々驚いた。

さて、今回のライヴもかなりの来場者があって、
前回のライヴでの「KC人気」は、やはりホンモノだったんだと(^^;確信した。
しかし、KCの4人はそれで天狗になるようなことは決してなくて、逆に、謙虚すぎるというか、
特に、ライヴ前からYASSさんには、“どうしちゃったの?”と心配するほど、それが強く感じられて、
しかもYASSさん、また痩せちゃってるし。そこまでブライアンに似なくても・・・(違っ)
とにかく、なんとなくいつもより元気がないな〜というのが感じられた。

開演!
ステージも会場も暗いまま、聞こえてきたのは、なんと、「Chinese Torture」
ぬぉおお〜っ!!すげぇー!こういうのをSEに持ってくるってところが、KC最高!
そして事前に、"今回も作ったからよく聞いててね!"という連絡をもらっていたので、
耳を凝らして集中して聞いた。
ラスト辺りは私には妙にツボだ。まるでバイオリンみたいに感じる。
そしてなぜかまた、自慢したくなった。( オマエが自慢してどーする!)

そしてまだステージが暗い中、4人が現れた。
1曲目「I Want It All」。冒頭のコーラスの"I Want It Now !"でステージ照明がパッと点いた。
このスタートはインパクトがあったと思う。それに最初のツカミとしても狙い通りだったのでは?
ステージが明るくなって最初に私の目に入ったのは、らりさんのミラクルロジャー姿。
別にロジャーファンというわけではなく、瞬間的に目に入った。( 黄色と黒って一番目立つネ。)
次にYASSさん、痩せてホッソリ見える。特に下半身( って、どこ見とんじゃ!)。
TOHRUっちは相変わらず落ち着いた様子。( しかしあのヅラは似合いすぎ。 )
すぬさんは今回は後期フレディだからか、濃いアイメークをしていなかったので、
一瞬、スッピンなのかと思った。(慣れってこわいねぇ。)
それにしてもこの中間部分でのギターはスピードがあって素晴らしかった!

続いて「The Miracle」
いきなり、すぬさんが出だしを間違えた。でもそういうミスは全然オッケー。
それより、この時に、"すみません"と言った事が大きなNGだ。
つい出てしまったのかもしれないが、MJさんの方を向いて言ってたのも気になった。
それがあったからというワケではないけど、
私はこの曲はライヴ向きではないと感じていたし、ラストはリズムが変調することもあって
なんとなく、それまでの勢いが失速したようにも感じた。
私としては、ここでMJさんのキーボードを利用するなら、「The Miracle」より、
「Scandal」の方が相応しかったのではないかと思ってしまった。

すぬさんのMC。その中で、"これは、仮想ミラクルツアーなんです"と言った。
そのとき観客席から、"おぉ〜!"という期待感に似た歓声が上がったが、
私も密かに期待してしまった。
・・・ということは、KCのことだから、「Hijack My Heart」とか、「Stealin」とか、
「Hang On In There」とかも、やっちゃったりなんかするぅ〜♪と。
しかし、この後に続いたナンバーは全然違った。

「Keep Yourself Alive」〜「Liar」。
私の密かな期待は見事に裏切られたけれど、この初期ナンバーがスタートした途端、
それまでのKCの雰囲気が、一瞬にしてガラリと変わった。
なんだ?この違いは!と思わずカメラを置いて直にステージを確認したほど。
やっぱり違う。全然違う!まるで、息を吹き返したかのような4人。
それは、観客席を大きな波でのみ込むような勢いさえ感じた。

さて、ここからまた仮想ミラクルツアーに戻るのか?と思いきや、
YASSさんがアコギを取り出してきた。
すぬさんが、"この曲はバンドでは初めて演ります"と言ってスタートしたのは、
「Love Of My Life」。
これが、とても素晴らしかった・・・・観客が!
一緒に歌ってくれて温かさに満ち溢れていて本家のそのシーンに勝るとも劣らない雰囲気で
バンド結成8年目で初めて演って、この温かい反応というのは、ホント嬉しいなと・・・
良かったね、KC。(って、オマエは親か。^^;) いやでも、なんかとても感激した瞬間でした。

ここまでのMCでは、YASSさんは全く喋ってこなかった。
それに対して、観客側の物言わぬ期待感みたいなものをすぬさんが察知したのか、
YASSさんに催促の視線を送ったのを私は見逃さなかった。
その視線を受けたYASSさんは、すかさず、"今日は俺は喋らないよ!"と言っていたが
ちゃんとネタは仕込んでいたようで、エロ詩吟に会場は大爆笑。
会場の雰囲気が一段と和やかになったところで、「'39」。
こういう素晴らしい流れはこれまでにも何度もあったけど、
YASSさんの才能と人徳によるものは大きいと思うし、KC人気につながっているのだと思う。

そしてそういう和やかなムードから一転!
暗転した中で聞こえてきたのはMJさんのキーボードで、「Was It All Worth It」だ。
これぞ仮想ミラクルツアーといったナンバーだと思うし、ここに持ってきたのも素晴らしい!
MJさんはさすがに貫禄のプレイで、冒頭のメロディだけで一気に観客を引き込んだ。
らりさんの高音コーラスが活きて、すぬさんの力強いヴォーカルが映える。
これはとても良かった!!!

しかしこのあと、仮想ミラクルツアーはまたしてもストップした。
「Brighton Rock」。・・・・なぜここで、ブライトン?
しかも、らりさんがまた、なんちゃってティンパニー・ソロを披露した。
これは秋葉原でのライヴから3回目であり、前回のライヴを見た人には2回立て続けになる。
私にはクイーンがもしミラクルツアーでブライトンを演ったとしても、
ティンパニー・ソロは有り得ない気がした。
ここではギター、ベース、ドラムだけの掛け合いシーンが素晴らしかったこともあって
今回は短いドラムソロにしても良かったのではないかと思った。

そして「最後の曲です」のMCでスタートしたのは
「Hammer To Fall」。
この時サイドギターを抱えてステージ前に出てきたMJさんのステージ衣装は、
マジックツアーでのスパイクの姿そのままであり、
すぬさんは、フレディの腕立て伏せのパフォーマンスまでやってくれた。
確かにそれらは楽しませてはもらったし、本編のラストとして盛り上がった。
でもそれらはマジックツアーのハイライトシーンだ。
この曲自体は仮想ミラクルツアーとして充分考えられる選曲なだけに、
この曲のプロモで見られるフレディの独特のパフォーマンスの方が
いつもの、KCらしさに新鮮味を味わえたのではないかなと
ちょっとだけ残念に感じてしまった。

ステージが暗くなる。
観客の拍手はすぐにアンコールの拍手へと変わった。
30秒と経たずにステージに4人が再び登場してきた!

アンコールの一発目は「The Invisible Man」の曲でメンバー紹介!
KCのこういうセンスは大〜好きだ♪
でもね、らりさん!YASSさんがせっかく巻き舌で紹介してくれたのだから、
"Look at me, Look at me" のセリフは言って欲しかったな。(笑)

その後、間髪入れずに「Friends Will Be Friends」〜「Tie Your Mother Down」で締めくくった。
「God Save The Queen」のSEが中々流れてこない中、(苦笑)
メンバー全員がステージ前面に並んで御挨拶してライヴ終了。

ということで、今回のセットリストをまとめると、
オープニングSE: Chinese Torture
I Want It All / The Miracle / Keep Yourself Alive〜Liar
Love Of My Life / '39 / Was It All Worth It / Brighton Rock / Hammer To Fall
encore: メンバー紹介(The Invisible Man)/ Friends Will Be Friends〜Tie Your Mother Down
エンディングSE: God Save The Queen

こうして見ると、ミラクルからの曲がうまく入っていて、
スパイスのような役割で選曲していたのかもしれない。
それに今回は、MJさんがキーボードを担当してくれたことで音に厚みが増したと思うし、
特に、「Was It All Worth It」では、それが充分に活かされていたと思う。

しかし今回、初期の曲と後期の曲とでは、ステージに明らかに温度差が感じられた。
それは、定番曲だからというだけではないと思う。
なんとなく今回は、攻めではなく、守りに入っていたような、そんな気がした。もっと言うなら、
ステージ上では不要な謙虚な構え方が、一番必要な自信を薄くしてしまっていたのではないかと。
今後、誰をゲストプレーヤーに迎えようと、KCのライヴはKCらしくあってほしいと思った。
まぁ、正直に書くと、「Roberto&Masakado」さんのライヴの後だったから
尚更そう感じてしまったのかもしれない。
でも、KCの良さはそれとは別にある!
だからこそ、観客があれだけ盛り上げてくれて温かい声援を送ってくれるのだと思う。

今回の勝負は、「本格派」に軍配が上がったものの、
私の中ではそういう部分において、かなりいい勝負だったと言える。


SIDE WHITE