1年ぶりのライヴ
KCのライヴは、これまで平均して年2回のペースだった。しかし、昨年7月の名古屋遠征後に突然、 TOHRUさんが入院!続いて、YASSさんには要精密検査が出たらしく、すぬさんは手首の痛みを訴えてきた。ちなみに、らりさんには慢性の持病がある・・・ その年の冬に予定されていたライヴは見送りとなった。そのことを残念に思う以前に、この時ばかりは メンバーの容態をかなり心配した。
今年の1月になって、TOHRUさんが退院。すぐに全快とまではいかなかったけれど、 その後、皆も少しずつ回復してきて、3月に入ってからようやく、「7月にリハビリを兼ねたライヴをやります!」と聞いた時は、 ホッと安堵した。しかしその会場が、照明や音響がこれまでのライヴ会場とは違う「Crawdaddy Club」という ライブ・バーで、しかも初のワンマン・ライヴでやるという。 印象派コピーバンドと謳うKCにとって、ステージ照明は重要だと思っていたし、 ワンマンでどれだけお客さんが入ってくれるのか・・・またしても親心に似た要らぬ心配を持ってしまった。
でもそれは、やっぱり要らぬ心配だったことが当日、明らかになった。

ライヴ当日
会場には一番ノリで行ったつもりが、既に3、4人ほど並んでいた。 その後、しばらくしてから外の様子を見に行くと、ナント、長い行列ができていた! 開場時間が20分程遅れたとはいえ、これまでのKCのライヴで、あんな光景を見たのは初めてだった。
会場内は、L字型になっていて、受付が店内のカウンター前だったこともあり、 入場するのにかなり混雑した。それで益々行列は長くなっていたように思う。 しかし、それにしても凄い人数で、全員入るのかな?と不安になるほど、超満員御礼状態! 思わず、「KCって、いつからこんな人気スターになったんだ?」と驚きつつも、顔がニヤけて仕方がなかった。



オープニングSE: PROCESSION
楽屋は無く、KCのメンバーはステージ衣装を着て一番前の客席に座って待機していた。 そこに流れてきたのが、このYASSさんがプレイして録音したPROCESSION
これまでも何度かオープニングに使用されてきたけれど今回のようなシチュエーションは初めてだった。 メンバーがステージに向かい、各ポジションについていく中、客席から拍手が起こる。 そんな状況で流れるのが、私にはなんとなく勿体無い感じがした。 別に、ステージに幕が欲しかったというわけではない。ただ、これまでのように想像をかき立てるだけの 聴覚を集中させる状況ではなかった事が残念だったというか、 まぁ、早い話が、これYASSさんが弾いてるのよ〜!って感じで、ちゃんと聴いて欲しいなと思ったのでした。


2.OGRE BATTLE
「Hammersmith'75」バージョンでの演奏。
私にとっての聞き所は最初のフレーズに入る前の、ギターの不協和音だ。 ライヴでのこの曲は、この不協和音は絶対に欠かせない。 しかし、細かい事だけど、このバージョンでのそれは、まるで、“大きな船が傾いて軋むような音”っていうのが 特徴的だと思っているのだけど、今回はそれが聞こえてこなかったなぁ。(細かすぎだろ!)
じゃ、大きい部分で言うと、途中の、"Yeah Yeah Yeah"の部分が今回は聞けなかったなぁ。(笑) これは、すぬさんが飛ばしてしまったらしいが、他の3人が涼しい顔して続けていたので、多分気が付いた人は少なかったかも。 でも私には、この部分が抜けたのは大きかった。



3.WHITE QUEEN
「Hammersmith'75」バージョンでの演奏。ではあるけれど、私にとってこの曲はKCのライヴで聴いて 初めてこの曲の素晴らしさに気付かされたので、「KCライヴバージョン」が一番好きだ。 特に中間部分。YASSさんが奏でるギターの音色のなんと美しいこと! そこにすぬさんのピアノが絡んで、TOHRUさんのベースと共にこの曲の悲哀が心にしみ込んでくる。 聴き惚れるとはこの事だ。
ただ今回、一つだけ残念に感じたのはステージ照明だ。 最初から最後まで変化のない明るさのままで平べったい感じがした。 照明効果で演奏力をカバーするのではなく、演奏に集中させる照明の演出というのもあると思う。 この曲は「ホワイトクイーン」ではあるけれど、その白が浮かび上がるのは黒の中だ。 せめてもう少しトーンを落としてステージを暗くしてくれたら、すぬさんお手製のシラサギ衣装も、 もっと映えたのではないかと思った。


6.LIAR
「Hammersmith'75」バージョンでの演奏。らりさんがいきなり冒頭で外した。 珍しい、どうしちゃったの?と心配していたら、観客席から、「らりさ〜ん♪がんばってぇ〜」という黄色い声援が飛び、 すかさずニヤニヤと鼻の下を伸ばしながら復活!
・・・なんだ、いつものらりさんじゃん。と一安心。(爆)
さて、KCの18番とも言われているこのナンバー、見所の半分はベースのTOHRUさんだと思っているのだが、 これまでのライヴでも多く見られるように、今回も最初のポジションからほとんど微動だにせず、 黙々とプレイする姿が一層、初期のジョンぽく感じられた。 また、それはTOHRUさんのベースにも同じことが言える。 こちらを 参照していただくとお分かりのように、細かい部分をこれだけコピーしているにも関わらず、ステージでは それを決して、ひけらかさず前に出ない!そんな地味で控えめなTOHRUさんの性格も、ジョンに一番似ていると思う。


ここで第1部が終了。 




1.FATHER TO SON
「Sheetkeeckers」 バージョンでの演奏。Sheetkeeckersといえば、ブート音源に詳しい人なら、 クイーンのパーフェクト演奏を連想するかもしれませんが、KCは、それはないっ!ぃゃ、そこは違う。(ん?) 曲の後半で、ドラムのらりさんがスティックを落としてしまった。でもそれくらいはよくある事。しかし、その後だった。 なんと、素手でクラッシュシンバルを叩くという荒業を見せてくれました! 慌てていたとは言え、これはある意味、貴重なシーンだったかなと。
ラストは素晴らしいコーラスで決めてくれた。


ここで、YASSさんのMC。
冒頭に書いたように、昨年の名古屋遠征後、メンバーが体調を崩したことで、リハも全員揃わなかったりして 練習もままならず、メンバーそれぞれがいろいろと不安な思いをしてきたであろう事が、 その真面目なMCから伝わってきて、思わずウルっときてしまった。
そして最後に全員で乾杯。これはライヴ・バーならではの演出とも言えるが、 こうしてメンバーが全員揃ってライヴが出来た事を心底喜び、 それを皆で分かち合いたいという気持ちに溢れていて、KCらしいなと思った。
(でもホント、元気になって良かったょぅぅ。)


4.GREAT KING RAT / 5.MODERN TIMES ROCK 'N' ROLL
本家クイーンのレコードに、「At The BBC」というのがあるが、 それには、この2曲が続きで収録されている。しかし今回KCは、 GREAT KING RATをスタジオ盤にして、間髪入れずに、まるでメドレーのように、 MODERN TIMES ROCK 'N' ROLL を「Sheetkeeckers」バージョンで演ってくれた。 これは最高だった!こういう組み合わせが聴けるところが、KCライヴの一番の醍醐味だ。
また、MODERN TIMES ROCK 'N' ROLLは、今回のライヴで初めてセットリストに加えられたもので、 この曲が始まった時は、一瞬会場も湧き立った。ドラムのリズムがちょっと固かったけれど、 今回のライヴで一番印象に残るナンバーとなったのではないだろうか。
もうひとつ特筆すべきは、MODERN TIMES ROCK 'N' ROLLでの最後に、 すぬさんとの掛け合いで聞かせてくれた、らりさんの超高音ヴォーカルだ。 ラストは更に高い声で歌うのだが、それも見事に再現してくれた。



〜休憩タイム〜
今回のライヴタイトル、"初中御見舞"は、「初=初期クイーン」で、「中=中期クイーン」という、"暑中"を掛けたタイトルになっていて、 休憩を挟んで第2部がスタートする構成になっていたが、メンバーが中期クイーンの衣装に着替える場所はトイレしかなく、込み合う中、 お客さんから、「お先にどーぞ!」と優先させてもらったらしい。(有難いことです)
ちなみに、男性陣はドアの外でズボンを履き替えたらしい。(ご苦労さん!)
まもなくして、衣装替えしたKCのメンバーが揃った。
SE: WE WILL ROCK YOU(slow)が流れると、お客さんからドンドンパンの手拍子が起る。 その中をリラックスしたムードですぬさん以外の3人がステージに向かっていった。



第2部 1.WE WILL ROCK YOU(fast)
ここから先は「Live Killers」バージョンでの演奏。雷鳴と共に勢いよくステージに飛び出したすぬさん。 会場も一気に盛り上がる。しかし今回のような会場であれば、 逆にステージから客席に飛び出して歌うパフォーマンスも有りだったのでは?
また、「Live Killers」は馴染み深いバージョンではあるけど、私にはクイーン・コピバンの王道ナンバーみたいに感じられて、 今ひとつ面白味に欠ける感がある。マニアックなKCには、オープニングにJAILHOUSE ROCKをもってきて、 この曲につなげていっても良かったのではないだろうか。


3.DEATH ON TWO LEGS
この曲のMCには、ピーピーピーという電子音が入ってるが、それをYASSさんがギターの音で再現した。 続いて、最初の部分をらりさんがエレクトリック・パッドを叩いて電子音的連なりで雰囲気を出していた。 どちらも面白い演り方だが、明るい照明の下では、それらはまるで種明しをしているように感じた。 もしそれらのシーンで照明が落ちていたら、多分もっと効果的で面白く感じられたのではないだろうか。 そして「Live Killers」では次のKILLER QUEENへとメドレーになっているが、KCはこれを全編演奏した。 終盤ですぬさんのヴォーカルに、ややパワー不足を感じつつも、ラストのらりさんのコーラスで引き締まった感じがした。


5. '39
ここで、「Live Killers」と同じく、YASSさんがブライアンのMCをそっくり真似てメンバー紹介を始めた。 メンバーはその紹介どおりの衣装を着ていて、会場が湧いた。
YASSさんは自分で、"つぶあん、こしあん、ブライアン!"などと言って、観客の笑いをとっていたが、 アコギを弾き始めたら、一瞬にしてそれは感嘆の声に変わった。 それは、この曲の哀愁漂うメロディの魅力によるものが大きいとは思うけれど、 笑いで会場の雰囲気をリラックスさせた直後に、このナンバーをスタートさせたのはすごく良いタイミングだった。 それはKC独特の味わいがあって私は好きだ。また、らりさんの高音コーラスが相変わらず素晴らしくて、 この時はカメラ撮影を一時中断してしばらく聴き入った。


7.BRIGHTON ROCK
「Live Killers」バージョンで好きなシーンの一つが、この曲のフレディのMCだ。 フレディは「ブライトン ロッキュゥ〜〜」と、その最後の発音が特徴的で、それをすぬさんが再現してくれて嬉しかった。 そして「Live Killers」バージョンのこの曲というと、欠かせないのがロジャーのティンパニー・ソロだ。 KCは、すぬさんの巧みな図工技術により、画用紙に描かれたティンパニーを前面にして、 らりさんが、なんちゃってティンパニー・ソロを披露した。 それは目を細くして見れば、もしかしたらティンパニーを叩いているロジャーに見えるかも知れない!といった微妙な感じなのだが、 らりさんのそのパフォーマンスには黄色い声援が集中した。しかし黄色い声援は聞こえなかったものの、 その後のYASSさんのギター・ソロは素晴らしかった。小さなミスはあったかもしれないけれど、 後半になるに従って、そのギター・プレイには圧倒された。この時のYASSさんは目を細くして見なくてもブライアンと 錯覚してしまうほどだった。


encore: IT'S LATE
もしアンコールをやるとしたら、おそらく、この曲を演奏するのではないかなと思っていた。 そう予想したのは、今回の会場である「Crawdaddy Club」で演奏するには、とても相応しい曲だと感じていたからだ。
この曲は6分以上もあることから、下手すりゃプログレ向きだし(笑)、この曲構成からしても、 お店の雰囲気に似合っていると思う。それにラスト部分はかなり盛り上がる。 アンコールにはもってこいのナンバーだろう。
その予想どおり、静かに始まるYASSさんのギターの音色に酔いしれ、 らりさんとYASSさんの素晴らしいコーラスに徐々に盛り上がっていき、最後は思わず拳を突き上げるほどの盛り上がり様。 会場から大きな拍手が沸き上がった。




2.LET ME ENTERTAIN YOU
「フィールグッ〜!アユレディロック! アユレディロール...」お決まりのセリフをすぬさんが叫ぶ。 続いてYASSさんのギターが唸る。この曲のこの部分は何度聞いてもゾクゾクして心がはやる。 この曲は途中、歌詞がよく聞き取れない上に、本家フレディは、その部分をまるで吐きかけるように 喋る感じで歌うのだが、それって、かなり難しいことだろうなと思う。 しかしそれでも、すぬさんのヴォーカルは最後までスピーディな展開で良かったと思う。


4.DREAMER'S BALL
YASSさんがレスペからアコースティック・ギターに持ち替えた。そして、すぬさんとYASSさんが椅子に腰掛ける。 アコギの音色が良いムードで響いてきた。本家のイントロで最初に聞こえてくる“チキチキチキチ”ってのが無かったが、 ドラムロールはしっかり聞こえてきた。(出番が少々フライング気味に感じたけど)、そして一番楽しかったのは、 カズーを使用せずにYASSさんとらりさんが口でそれを再現した間奏部分だ。 この二人は漫才コンビみたいに息が合っていて、演奏での完コピはまだ聞いたことないが、 こういうところは絶対外さない二人だ。雰囲気も充分感じられて素晴らしかった。


6.SPREAD YOUR WINGS
初期のナンバーとして、LIARがKCの18番なら、 中期のナンバーとしては、この曲がそれに当てはまるのではないだろうか。演奏も安定していて、 観客が両腕を左右に振ってくれて温かな雰囲気に満ち溢れていたからか、ステージ上のKCが妙に慣れた感じがした。
ちなみに、この曲に入る前に、すぬさんがらりさんの衣装のネタばらしを話し始めた。 トラ柄のパンツはヤフオクで500円でゲットしたそうで、しかし女性用だったため、少々寸足らずで、その丈を長くするために お腹の部分の生地を切り取って代用したとか。これにはお客さんも興味津々の様子だった。



8.TIE YOUR MOTHER DOWN
“ラストの曲です”とYASSさんが紹介すると、客席から(お約束の?!)“え〜〜!”の嵐。 「Live Killers」バージョンでラストを飾るとしたら、通常なら、WE ARE THE CHAMPIONS になるけれど、 それはKCでは考えられない。というか、それは私も考えたくない(^^;、かと言って、SHEER HEART ATTACK は KCはまだ一度も演奏したことがないし、最後に盛り上げるナンバーで言えば、やはりこの曲になるのかな。
それにしても、スタンディングで盛り上がろうにも、客席が狭くて超満員だったこともあり、 立てなかった人は多かったのではないだろうか。



最後は、4人がステージ前面に出てきて、「Live Killers」のジャケットと同じポーズで締めてくれた。
ご覧のように、メンバー4人ともポーズのとり方が、ものすごく自然体というか、メンバーそれぞれの個性がよく出ていて、
ある意味クイーンぽくて、ある意味KCらしさを強く感じる。あらためてKCの魅力を感じずにいられないラストシーンだった!


今回のライヴは「リハビリを兼ねて・・」と言っていたが、セットリストを見直すと、演奏曲は16曲で、
これは4年前の自由造でのライヴに次ぐ、最多演奏曲数になる。しかも、「MODERN TIMES ROCK 'N' ROLL」と、「DEATH ON TWO LEGS 」の2曲は今回新たに組み込まれている。 とてもリハビリを兼ねていたとは思えない。寧ろ、1年間のブランクを吹き飛ばすかのようなライヴだったし、これまで見てきた中で、 メンバー全員とてもリラックスしていて素晴らしいライヴだった。

当初はワンマン・ライヴに不安を感じていたけれど、逆にワンマンだからこそ伸び伸びと プレイできた部分もあるだろうし、最初から最後までKCらしさが出せたのかも知れない。 それに、ライヴ・バーだけに客席のスペースもステージも狭いし、照明もバンド側の要望は不可ということもあって、 これまでのような照明効果が得られないのはカメラマンとしても不安だった。 しかしそれらもまた、フタを開けてみれば、悪い結果にはならなかった事を考えると、昨年の名古屋ボトムラインのような 大きなステージでも、今回のようなライヴ・バーで照明効果が得られなくても、どちらでも満足のいくライヴが出来るバンド、 という事になると思う。

・・・まぁ、だからと言って、「KCは、それだけ凄いバンドなのか?」と訊かれたら、
おそらく私は、蚊の鳴くような返事をしてしまうだろうけど。(^^;

Live at the Crawdaddy Club. / July 20th 2008.



SIDE WHITE