会場が暗くなると、オペラ座ツアーにはお馴染みのケニー・エヴェレットのあのテープが流れてきた。 Bohemian Rhapsodyのオペラパートの終盤が近づくにつれ、KCの登場を待つ期待感と比例して気持ちが高まっていく。
そしてロックパートと同時にステージの幕が開いた!すぬさんのシルエットが懐かしくも印象的なスタートだ。



今回のクイーン・ファン・コンベンションのドレスコードは、「HOT SPACE」だったが、
K.C.Rhyeとしては、祝2回目のコンベンション出演ということで、ステージ衣装と共に1976年のQUEEN二度目の来日公演と同じ幕開けとなった。
しかもそのステージには当時ロジャーがドラムキットに「Bohemian Rhapsody」用として銅鑼を加えた事、
そして、ブライアンが以前は6台使用していた“VOXアンプAC-30”を、二度目の来日公演では9台に増やして
使用していた事を忠実に再現してきた!
たとえそれがハリボテの工作であっても、こういう部分がQUEENに対するK.C.Rhyeの拘りでもあると思うし、
コンベンションという大舞台で再び演奏することが出来た喜びと感謝の気持ちの表れではないかと思った。



前曲から間を置かずに聞こえてきたのは、 私が大好きなレスペの不協和音で、それが無いと始まらないと思っている「Ogre Battle」
このナンバーはQUEENのライヴで聴くと、途中のリズムが重く感じられるほどラストはとても速くなったりしているが、 今回、TOHRUさんのベースが非常に心地良く響いていて、最後も走ることなく、しっかりリズムをキープしていた。
それと今回は初めてラストをレコードと同じように銅鑼で締めくくった。 ・・といっても、銅鑼は良く出来たハリボテなので(笑)、右手で電子パッド、左手で銅鑼を叩くらりさんは忙しそうだった。

さて、次は「スウィート・レディ」かと思いきや、始まったのは「The Fairy Feller's Master-Stroke」。サイドブラックそのままの流れだ! しかも、一番最後になって"あら、メドレーになるの?"と思うほどこの曲は完全演奏だった。
完全演奏と言えば、その後「The Marrch Of The Black Queen」の中盤に突入したが、ここで、 “I reign with my left hand”のところが口パクになっていて、“I'll fo nad I'll fie”のところはオフマイクになっていた。これは知る人ぞ知るQUEENのハマースミスの真似である。 そして最後は「Bohemian Rhapsody」のラストパートに戻り、らりさんが当時のロジャーの動作と同じように銅鑼を鳴らしてメドレーが終了したが、 これぞKC流!という感じがして、思わず顔がニヤけてしまった。



すぬさんの挨拶が入る。"QUEENに対する愛情だけは負けません、 ぜひ一緒にQUEEN愛を示しましょう!"と。
観客からすぐに反応の声が上がったように、それはクイーンファンコンベンションにおいて最も相応しい言葉だなと思った。
なぜなら、QUEENに対する愛情は会場に集まった誰もが強く持っているはずだから。
そしてスタートした曲は「White Queen」

ボトムラインのステージは天井がとても高い。 よって、天井の照明スケールが長くなる分、ビジュアル的にも美しく映える。
YASSさん手作りによる7台の“BOXアンプAC-30”からも(残る2台は本物よ!)美しい音色が出ているかのような錯覚さえ覚えるほど、 ステージ全体がこの曲の雰囲気を一層美しく魅せてくれる。
本物は“VOX”、手作りは“BOX”というお笑いネタにもなっているが、今回設置された“銅鑼”と“BOXアンプ”は、ただのお笑い道具とは言えないなと思った。 ステージ全体から受ける印象も、おそろしくQUEENっぽく感じたからだ。
私は会場の後方に下がり、ステージ全体のその美しさに見惚れてしまった。



美しさの余韻に浸っている間もなく、次にすぐスタートしたのは、 「Son And Daughter」
カッコ良すぎる!こんなセットリストを考えてくるコピバンって、自分は他に知らないけれど、 QUEENに対する愛情を、これでもかってくらい観客に投げかけてくれるのが、K.C.Rhyeライヴの一番の良さではないかと思う。
さて、この曲では途中ちょっとギターの音が不安定になっていたのが気になったものの、 「ブライトン・ロック」でのソロがフィーチャーされたYASSさんのギターソロはとても素晴らしかった。 コーラスも天然ブライアンさながらに「あ、次コーラスだった」と、急いでマイクの前に戻るシーンも見られたし。
また、らりさんの高音コーラスが一際響いていた事、ラストにすぬさんがタンバリンを持ってくれた事が個人的に嬉しく、印象に残った。
それと、これぞ印象派と呼べるのは、らりさんのドラムプレイだ。それまでも彼なりの拘りを随所に感じさせる叩き方をしていたけど、 この曲でも例外ではなかった。「The Untold Story/らりるれX 編」の中に書かれてあるが、 “叩いては背筋を伸ばして左を向<”というロジャーの不可解な動作をやっていた。まぁ、誰も気がついちゃいないと思うけど(笑)、 カメラマンとしては、それらのシャッターチャンスを狙っていたのだが、今回は残念ながら撮れていなかった。




ここでステージが明るくなり、YASSさんのMC。
YASSさんは首にかかるカーリーヘアーが暑くて邪魔になるのだろうけど、
MCの時にそのカーリーヘアーの左下辺りをしきりに手で触る。
そのしぐさをしてる時って、何を話そうかと頭の中の引き出しを探ってる時なんじゃないかと思うんだけど、違うかな?
結局、いつものように会場から笑いが起こり、そのあとメンバー紹介となったが、それが今回は前回と打って変わって、 素人丸出しのメンバー紹介というか(爆)、でも、それでも微笑ましいのが、K.C.Rhyeなのだ♪




メンバー紹介の最後にYASSさんが紹介されてギターでスタートしたのが「Great King Rat」
おそらく、冒頭から最後まで冴え渡っていたドラムのらりさんの超高音コーラスは一番印象に残ったのではないかと思うけど、 K.C.Rhyeのライヴにおいて、個人的には、この曲と「White Queen」の2曲は、個々の演奏力云々ではなく、 バンド全体から受ける印象が素晴らしくて、本家QUEENに勝るとも劣らない4人の見事な調和を感じとれる。 それにバンドとしての魅力が存分に発揮されているナンバーだと思う。 ・・・って、ちょっと褒めすぎかもしれないが(^^;、早い話、私にはこの2曲は、K.C.Rhyeのライヴで聴くと、毎回とても満足する事が出来るのだ。



最後の曲はYASSさんのMCと重なるようにピアノの音が流れてきた。「In The Lap Of The Gods ..Revisited」
この曲のこの始まり方に感動!というのも、QUEENの後期のライヴではスタートはギターバージョンになってしまったが 70年代のライヴではほとんどこの始まり方であり、私には完全に定着してしまっていたので、この曲の始まりのMCは絶対ブライアンじゃないとダメなのだ! (←頑固もの!)、だからKCがそれを再現してくれてとても懐かしく嬉しく思った。
観客もこの時ステージ前まで来て手を左右に揺らしながら、一緒に歌ってくれていた。 本編ラストには相応しいナンバーであり、この時の雰囲気も最高だった!!



4人が慌しくステージの脇に下がっていった。同時に観客からアンコールの手拍子が起こる。
ステージは全照明に照らされたまま。スモークがステージを全体的に白っぽく覆っていた。
アンコールの手拍子と共に「早く!早く!」という声が上がり始める。
待っている時間が自分にも妙に長く感じられた。と、その時、手拍子が突然、黄色い歓声に変わった。
それもそのはず、一番最初に登場してきたのは上半身裸にサスペンダーという姿のらりさんだった。
会場から「きゃー♪ロジャー」という声が起こる。ドラムでスタートしたのは、もちろんRock'n'Roll Medleyだ。



すぬさんがキモノ姿でステージに登場すると、両手に抱えた赤いバラの花束を一本一本観客に投げ込んできた。
これは実は、前回のアンコールでやるはずだったのだが、その時は着替えに精一杯で間に合わず、 用意していたバラをそのまま持ち帰った事に対するリベンジでもあった。


すぬさんがストリッパーの如く、キモノを脱いでいく。
ここでジッとしているなんて、"QUEENファンじゃねぇー!"という感じで(^^;、 ステージ前に押し寄せていた観客も手を振り上げながら飛び跳ねていたし、 デシカメや携帯を差し出して必死に写真撮影する人も多かった。



今回のアンコールでのステージ衣装で、お初!であり、感激ものだったのは、 言わずと知れた「紅白ホットパンツ」だ。
貴公子QUEENと謳われていた時代に突如として来日公演のアンコールに紅白ホットパンツ姿で登場したフレディを、 誰が忘れる事ができましょうか!! おナスのフレディ♪と言われても、歌って踊れるストリッパー♪と言われても、これぞ真のエンターティナーだと、ずっと信じて疑わなかったファンの一人として、 すぬさんがそれを33年も経って再現してくれた事に感激しないワケがない!
それに当時フレディも言ってたように、如何にして観客を煽ることが出来るか、というのが最も重要なのであって、 それをすぬさんは見事にやってのけたのだ。
その証拠に、キモノを脱いだ瞬間、会場全体から、 “うぉぉおおおおっ〜〜!”という、なんとも例えようのない歓声が湧き起こった。 それはステージ上のメンバー全員にも聞こえてきたそうだが、あれは私も忘れられない。




76年オペラ座の夜ツアー風(SE)
Bohemian Rhapsody(Opera/Hard Part)
〜Ogre Battle
〜The Fairy Feller's Master-Stroke
〜The March Of The Black Queen(Live Part)
〜Bohemian Rhapsody(Last Part)
White Queen
Son And Daughter

Great King Rat
In The Lap Of The Gods...Revisited

アンコール
Big Spender
〜Modern Times Rock'n' Roll
〜Jailhouse Rock




正直言って、K.C.Rhyeが続けて2回もコンベンションに出演できるとは思っていなかった。
本人たちも、「俺たちそんなに上手くないのにまた呼んでもらえるなんて・・・」と恐縮していたが、
確かに、歌と演奏力が特別優れているとか、実力派のバンドです!なんて事は、とても言い難い。(すみません)

しかし、自分自身が初めてK.C.Rhyeのライヴを見たときからこのバンドに惹かれているのは、 クイーンファンだからこそ楽しめるライヴを見せてくれるし、毎回何かしらクイーンファンとしての拘りの部分を垣間見せてくれるからだ。
その多くは、初期QUEENの楽曲だったりライヴ音源からのものだが、 それをそのまま再現するだけでなく、そこに少しだけ捻りを入れてくるというか、 実際、初期QUEENの楽曲はライヴでの再現が不可能なものが少なくないわけで、それを優れた演奏力でカバーしてくるワケでもない。
なのに、K.C.Rhyeというバンドは、そこが不思議なところで(笑)、メンバー全員が必ず当時と同じ衣装で揃えてくる事は大前提の上で、 QUEENでさえ演らなかった曲をメドレーに取り入れたりして、初期クイーンファンの心をくすぐるようなセットリストに仕上げてくる。 今回のセットリストでもそうだ。クイーンファンだからこそ楽しめるライヴになっていたと思うし、今回は私自身それを肌で感じる事ができた。 そう考えると、K.C.Rhyeが今回もコンベンションに出演できた事には頷ける。

それにしても、ボトムラインという大きな会場で2回も演奏できるなんて、K.C.Rhyeは超ラッキーなバンドだなって思う。
この幸せ者ぉ〜〜っ!(爆)




ライヴ写真集




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