SE:Processionが流れてきた。
・・・すごい大音響だ!この会場の大きさを全身で感じながら、会場の後方でカメラを構えた。





幕が少しずつ上がっていく。
眩しいライトの中に浮かぶ あのポーズを、真っ先に捉える!


「Father To Son」
ステージ照明が鮮やかに4人を照らす。その照明によって、驚くほど天井が高い事を実感させられる。

すぬさんがステージ前方に向かって勢いよくジャンプした。 
っと、次の瞬間、私の目が捉えたのは、
バランスを崩し尻餅をついたすぬさんの右のブーツから外れて転がったヒールだった。・・・なんてこったい、ちくしょー!
そう思ったときに、客席側から小さな笑い声が聞こえた。
それは多分、単に尻餅をついたからという理由なのは、判っていたが、瞬間的にムッとした。
しかし逆に、その笑い声によって、それまで自分の中にあった動揺が、闘争心へと変わった。
KCが笑われるなんて冗談じゃない、ベストショットをとってやる!そういう思いが少しずつ平常心を取り戻していた。

YASSさんがギターを弾きながらステージ中央のせり出したスペースに出てきた。
リハの時に、「シールドはそんなに長くないから、一番前までは行けない」と言っていたが、充分だと思った。
それに、戻っていくときの後姿が、超カッコ良くて、ブライアンっぽかった。
YASSさんがギターを弾きながら戻っていく後姿を見られたのは、今回が初めてだった。
それだけ、クラブチッタのステージは広いということだ。
また、ドラム台も理想的な高さだ。
しかも、らりさんのセッティングは初期ロジャー同様にシンバルの位置を高くしてある。
それに加えて、銅鑼はハリボテとは言え、本物より一回り大きいだけに一層迫力を醸し出していた。
っと、そんなドラム台に見惚れていたら、突然シンバルの首がカクンと折れた!
小さな会場なら、ちょっと出てって直しても、笑って済ませられるけど今回のステージじゃ無理だ・・・
らりさん、自力でなんとかするのか?と思っていたら、
さすが、チッタ♪曲のブレーク時にタイミングよくスタッフが飛んできてサッと直してくれた。



「Ogre Battle」
今回、この曲では本家クイーンのHammersmith'75のライヴと同じような視覚効果が見られた。
それは、ステージ左右に仕掛けられたスモークだ。
目潰しライトは無かったけど、すぬさんのアクションにタイミングよく、それらが噴出したのだ。
でも、すぬさん!この曲のラストは銅鑼が鳴り響いたところで、キチッと締めて欲しかったな。

「White Queen」
最初、少し早い感じがした。でもギターはそれまで心配していたほど、気にはならなかったし、
フェイザーとディレイが不調であっても、それを感じさせないどころか、聴き入ってしまうほどで、
それはやはり、YASSさんの演奏力が優れているからだと思う。
ギターソロではミラーボールが天井を飾り、その周りの六芒星型に組まれた照明は、
まるでオーロラのように会場全体に降り注いでいた。

「Keep Yourself Alive」
私の予想では、このナンバーがスタートしたら、お客さんたちがステージ前の柵に押し寄せてきて、
そこからラストまでスタンディング状態になるだろうなと踏んでいたのだが、見事に外れた。
でも、ほとんどのお客さんが立ってくれてリズムに合わせて手拍子をしてくれたのは嬉しかった。

ドラムソロの直後、らりさんがずっとニヤニヤしているのに気が付いた。
なんだ?ソロの時のドラム照明が凄かったから、それで喜んでるのかなと思ってたら、
ソロでミスったからだと後で聞いた。・・・ミスといってもほんのちょっとだけじゃん!
そういえば、練習の時は一度も間違えてなかったから珍しかったかもしれないけど。
珍しいといえば、この曲を直球のギターで聴けたのは、逆に新鮮だった。

「Liar」
このナンバーはKCへのリクエストが一番多いらしいが、KCがコピーしているのは、
Hammersmith'75バージョンだ。それをよく踏まえて聴くと、
フレディがフライングで歌って(ミスって)いるように聞こえるが、本当はロジャーが遅れて入る部分もコピーしている。
しかし今回すぬさんは、そのミスを少しミスってしまった(紛らわしい?^^;)、でもそこで感心してしまったのは
そのミスのあとに、らりさんがタイミング良く、すぬさんに合わせてコーラスを入れてきた事だった。
それは長年一緒にやってきている阿吽の呼吸だったのかな。よく合わせたなと思った。

そしてこのナンバーと言えば、スポットライトはTOHRUさんでしょう!
ベースの見せ場にドラム台の上に乗っかったのは、4年前の沼袋以来かな?
今回もそれで目立っていたけど、でも4年前と違うのは、ベースの音がとてもよく響いてきていたこと。
しかもそれはこの曲だけではなく、最初からそうだったから、強く存在感をアピールできていたと思う。
ただ、コサージュと蝶ネクタイは、チッタのような大きな会場では目立たない、というのがよく判った。(笑)

「In The Lap Of The Gods....Revisited」
すぬさんのピアノの遊びをBGMにして、YASSさんのMCが入る。
今回は、これまでのように、“YASSコーナー”として笑いをとることはしなかった。
それは充分理解できたし、そうあるべきだなと思ったし、
そしてその内容には会場のほとんどのお客さんが、強く共感していたのではないかと思う。
それと比例するように、この曲では総立ちのお客さんが両手を左右に振ってくれて、
同じクイーンファン同士、ステージと客席が一体となった“ファンの輪”が感じられた。





今回のKCのセットリストは、30分枠ということで、全6曲。
Father To Son / Orge Battle / White Queen / Keep Yourself Alive / Liar / In The Lap Of The Gods....Revisited

短い時間のステージだったけれど、うまくまとまっていて、まさに「起承転結」という感じがした。
また、今回はトラブルやアクシデントに見舞われたけど、動揺したのは私だけで(^^;、
すぬさんは片方のヒールだけで、あれだけステージを動き回って最後までやり遂げたし、
YASSさんは、無念な思いはあるとは思うけど、それを男らしく振り切って、優れたテクニックでカバーした事は
本当に素晴らしかった。そういう意味では、今回、クラブチッタという大きな会場で演奏できた事、
会場で同じクイーンファン同士の温かい交流ができた事は幸運だったと思うし、
KCR一座として、6人が最高のチームワークでこの日を迎えられた事も幸せに感じた。

いや〜、でもホントお疲れ様でした!!



SIDE WHITE