コンベンションの流れはスムーズで会場は良い雰囲気で盛り上がっていた。そこに「次はコピーバンドのライヴでお楽しみ下さい。 先ずは、K.C.Rhyeです!」というアナウンスが入ると同時に会場が暗くなった。
まだステージの幕は上がっていない。緊張しながらステージ下にスタンバイしていた私の鼓動より遥かに落ち着いたリズムで、 それは静かに流れてきた。「Procession」
1975年のクイーン初来日公演を記憶しているファンなら、きっと懐かしく思い起こしただろう。でも流れているのはYASSさん作の「Procession」だ。 この時、本家クイーンのテープを流していると勘違いしていた人は少なからずいたのではないかと思う。 私がこれを最初に聞いた時は、鳥肌が立つ程そっくりで、しばらくわからなかったくらいだから・・・ そう思うと、更にワクワクしてきた。そして「Father To Son」に入ると同時にステージの幕が上がった。


「Father To Son」。今回のコンベンションのテーマ「QUEEN II 〜BLACK & WHITE〜」に沿うステージ衣装でもあり、 初来日公演時のクイーンのステージ衣装とそのアクセサリーまでそっくりに再現したKCが眩い照明に浮かび上がる。 シラサギルックのすぬさんが冒頭からステージ狭し!とばかりに伸び伸びとよく動く。 声にもそれくらいの伸びが欲しいところだけど(^^;、(風邪で3日前まで声が出なかったから仕方ないけど) でもそれをカバーするように、らりさんとYASSさんのコーラスハーモニーに助けられながら、印象的なポーズを次々に決めていく。 また、TOHRUさんも、いつものステージ左の固定位置から→中央→右側へと大胆に移動してのベースプレイを見せてくれた。 これまでKCのステージを見てきた中で、そこまで移動するTOHRUさんは初めて見た。出だしは好調だ!



「Ogre Battle」私的に大好きな曲だからというのもあるけれど、 これには毎回のように冒頭のギターにゾクゾクさせられる!今回もそうだった。 ステージには実際スモークがたかれていたけど、YASSさんの指から弾き出されるその音から、まるで暗雲が立ち込めてくるような錯覚に陥るほどだ。 しかも、ギターソロでは指板を見ないでプレイするところも見応え充分だ。 TOHRUさんのベースもスピード感があって、私的にはこのナンバーが今回のライヴの中で最高に良かった。



すぬさんの軽い挨拶のあと、「White Queen」に入る。 この曲の見所は何と言っても、ピアノとギターが美しい中間部分だと思う。(自分にこの曲の素晴らしさを再認識させたのは、何を隠そうKCのライブだった!) ボトムラインのステージ中央に取り付けてあるミラーボールがその雰囲気を一層美しく魅せてくれる。
ここまでセカンド・アルバムからのナンバーが続いたが、KCにとってはこれまでのライヴで何度も演奏してきているだけに、 私には定番曲とも言える。でもコンベンションに集まったKCを初めて見る人にとっては、どうだったのだろうか? 反応が気になる。




ここでステージが一旦明るくなる。KCファンにはお馴染みの『YASSっさんコーナー!』だ。 今回はコンベンションでのライヴなだけに、やらないのかなと思っていたけど、やっぱりYASSさん根っからの漫才師だ。(違っ!)、 カーリーヘアーをしきりに手で触りながら、なりきりブライアンで語り始めた。会場から笑いが起こる。 爆笑というワケではないが、KCらしさがアピールされて会場がほんわかムードに包まれた。

続けて『メンバー紹介』となったが、これが今回よくまとまっていて、やり方がとても良かった。 『The Night Comes Down』のイントロのらりさんから始まって、TOHRUさんの時は『Son And Daughter』の触りだけを、 すぬさんの時は『Doing All Right』のピアノを入れて、 そして最後にYASSさんは『Brighton Rock』のラストで締めくくった。しかもその時にギターフレーズを間違えてしまい、 誤魔化して終わるという・・・なんとも楽しくて憎めないKCだ。



この曲のために3日間禁煙してきたというドラムのらりさんの超高音ヴォーカルが冴え渡る「My Fairy King」。 この曲はレコードで聞いていると、演奏のテンポは速いのにフレディのヴォーカルは艶深くゆっくりだったりするから、 ライヴで再現するのはとても難しいナンバーだと思う。それだけに、これをライヴで演ってくれるKCはチャレンジャーだ。 決して、歌・演奏共に満足してもらえる出来だとは言えなかったけど、こういうナンバーを演奏するというところに KCの良さがあると思うし、注目してもらいたいと思った。
ちなみに、この曲の最後にらりさんがまたしても、スティックを合わせる音「カチッ」をやっていた。 (レコードでよく聞くと、ロジャーがスティックを合わせる音が聞こえます。) でも多分、ぃゃ、きっと!んなもん今回も誰も気付いちゃいないね。(笑)



前曲の「My Fairy King」が終わって間髪入れずに入った「Liar」。それは絶妙のタイミングだった。 セットリストの曲と曲の間の取り方というか、その隙間というのは、ライヴの全体的な印象にもかなり影響してくると感じているだけに、 この上手い入り方には思わずニヤリとしてしまった。そして、このナンバーはクイーンのライヴでも強く印象に残るフレーズで始まるからか、 らりさんが冒頭のリズムを叩き始めると会場がイッキに盛り上がった感じだった。客席から手拍子が起こる。 ここでの見せ場は、ベースのTOHRUさんとすぬさんの掛け合いのシーン。それともう一つ! 本家クイーンも「X'mas Live」で間違えたシーンを見事に再現?!したところかな。(って、これも気付いた人は少なかったかも。)



すぬさんが「最後の曲になります。」と言ってスタートしたのが「See What A Fool I've Been」。 こんなマイナーで難しいナンバーをライヴの最後にもってくるところがKCの長所なのか短所なのか(爆)、なんとも言えないけれど、 この曲はブルース調が濃いので、どちらかと言うと、広い会場より小さなライヴハウスの方が雰囲気も出るのではないか思う。 しかしながら、最後にすぬさんが、"Thank you Goodbye!"と言って4人がステージを引き揚げていくシーンは 初期クイーンのライヴでアンコール前にフレディが言ったセリフと同じである。今回それを意識しての選曲だと思うと、 最も相応しかったのではないだろうか。
この時のすぬさんは声が万全ではなかったけれどステージでの堂々とした動きがとても良かった。





4人がステージ脇に下がっても会場は暗いまま。その中でアンコールの手拍子が起こる。
そこに、上から(2階席から)、3フィートの大きさのバルーンが、全部で5個、ポワーン、ポワーンと落ちてきた。 しかし、そのバルーンを跳ね返したりする人は誰もいなかった。ただ落ちていっただけのバルーンは、小さなお子様が大喜びの表情で 抱きかかえ、そのまましっかりと抱きかかえられたままだった・・・・・(この経緯については「女王遠征、外伝!」のページにて 詳しく記載していますのでご覧下さい。) さて、会場では手拍子が少しまばらになってきたところに、やっとらりさんがレインボーヅラを被って登場してきた。 ステージに照明が戻る!アンコールだ♪




アンコールは「Rock'n'Roll Medley」♪ すぬさんがキモノをストリッパーの如く、少しずつ脱いでいくと会場はイッキに盛り上がっていった。 らりさんのレインボーヅラ、TOHRUさんの白い帽子、YASSさんの白黒マフラー、 そしてすぬさんの白い短パン衣装に懐かしさを感じたクイーンファンも多かったと思うけど、 すぬさんの白いシャツのバックプリントをきちんと覚えてる人はどのくらいいただろうか? 残念ながら私もそれをよく知らない。が!KCも同じだったようで、写真を見るとお判りのように 「Sobo?」と書かれている。これはYASSさんがマジックで書いたそうで、 その「S」の文字は、名古屋名物、ひつまぶしにかけてウナギ風に描かれてあった!(お茶目なYASSさんだ) そして最後まで完全にイッちゃってるフレディの動きを再現したすぬさんはサイコーで、めちゃくちゃ楽しいアンコールだった♪



2007年7月21日(土)
於: 名古屋ボトムライン
( Queen Fan Covention in Japan )

<演奏曲目>

Procession ( SE )
Father To Son
Ogre Battle
White Queen
My Fairy King
Liar
See What A Fool I've Been


アンコール(Medley)
Big Spender〜Jailhouse Rock〜
Stupid Cupid〜Be Bop A Lula〜
Jailhouse Rock(Reprise)

今回のライヴは、当然ながらミスもあったし、特別上手い歌と演奏だったというわけではない。 だけどそんな事は今回のライヴに関しては問題外というか、そういう事よりも、KCがコンベンションに出演できた事、 それによって、コンベンションに参加された多くのクイーンファンにKCを知ってもらえた事が最高の充実感をもたらしてくれた。 それが私の率直な感想です。

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